続いてきた理由【特別篇】
2017-11-29


ひとつ前の記事でご紹介した
「越前和紙人間国宝 岩野市兵衛さん×東大襖クラブ@駒場祭」
盛況のうちに無事終了いたしました。お忙しい中参加してくださった皆さま、誠にありがとうございました!
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 当日11/25(日)、私は諸般の事情にて午後の部から参加。折しも午前中の人身事故で止まっていた井の頭線が動き出したばかりで、渋谷はいつも以上の人…と思ったら、乗客がほとんど駒場東大前で降りるじゃありませんか。狭い駅舎は人で満杯。聞くと三日間で15万人以上の人出らしい。正門から11号館はほど近いが大量の出店と人波に阻まれる。恐るべし駒場祭の集客パワー。
 辿り着いた1101は200人ほどのキャパ、大学の教室としてはこじんまりしている。入退場自由なのでドアは常時開放、外の賑やかな声が入る。瞬間、大丈夫かな?気が散らないだろうかと心配に。
しかしそこはさすがの市兵衛さん、口を開くや流れ出るその言葉に誰も彼も引き込まれてしまう。難しい言葉は何もない、ごくごくシンプルな語り口で時々ユーモアも交え、言葉がすんなり頭に染み込む。当ブログで「続いてきた理由[LINK]」というシリーズをつらつら書いてきましたが、まさに岩野市兵衛さんという存在そのものが、越前和紙の続いてきた理由でした。以下に一部要約を載せますが、実際に耳で聞いた方がずっといいです。

〇楮100%に拘る、製法に拘る
奉書といえば楮だが、100%のものは今は少ない。国産楮は職人の不足により生産高が激減しているが、四季のある日本で育った楮は皮が柔らかく、使う薬品も少なくて済むので今も何とか手に入れて使っている。
楮は繊維を長いまま残すため大部分を手作業で叩く。でんぷん質が残っていると虫が食うため、流水の中で塵取りをしよく洗う。水と原料を混ぜ合わせるためトロロアオイやノリウツギといった粘性のある植物の液を混ぜてかくはんし、一枚一枚厚みを確認し加減を調整しつつ紙を漉く。こうして何層にもなった楮100%紙は薄くめくることができ、虫食いもせず保存性が高いことから、今は版画用紙だけでなく美術品の修復にも使われている。(ルーブル美術館等に納めている)
〇需要第一
「求められるから」作り続けている。世の中がどんなに変わろうが、便利なものがたくさん出てこようが、顧客の求める品と品質に応えることが使命である。
〇越前和紙の職人の強み
越前和紙が1500年も続いてきたのは、紙漉きに向いた不純物の少ない豊かな水の恵みと、どんな難しい紙でもやってのける職人の技術と気概があったから。大変な仕事なので今後ますます職人は少なくなっていくと思うが、どこからでも来て紙漉きをやってほしい。


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