芸術の秋、紙が結ぶご縁
2013-10-04


日差しが強く蒸し暑かった昨日とはうってかわった今朝の肌寒さ。すっかり秋ですね。

さて、とある方から思いがけずいただいたこちら。
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仕事の傍ら色鉛筆画を始め、以来二十年描き続けて来られ、都内で何度も個展をひらかれたというこの方、新生・歌舞伎座の立ち上げという大仕事を成し遂げられたあと、今まで描いたことのない大きな作品に挑もうと思い立たれた。ところがこれまで愛用していた「越前和紙」(機械漉き)、都内の専門店にて取り寄せていたが、180×300cmという大型サイズの扱いはない。そこでネット検索し、たまたま見つけたのが長田製紙所のホームページだったそうです。

お問い合わせに応え早速地元で調べてもらいましたが、この紙と同じものが見つからない。もちろん高品質で良い紙ではあるが、厚みや紙質からするとどうもこの辺りで作られたものではないようだ。それでは、ということで近在の「画材としての和紙」をつくっている工場にあたりサンプルを集め、実際に目で見て触って、描いてみた上で選んでいただくことに。

都内にお住まいなので、不肖わたくしめがサンプル持参でお伺いしたのですが、私自身もこれほどいっぺんに「画材としての越前和紙」を手にとったのは初めてで、その奥深さに驚きました。恥ずかしながら、今まで機械漉きの和紙というものをあまり真剣に見比べたことはなく、なんとなく手漉きの方が「こだわり」感が強いようなイメージをもっていましたが、それはとんでもない認識違いでした。手漉きであろうと機械漉きであろうと良いものを作るためのこだわりに違いがあろうはずもなく、どちらも、歴史と伝統と確かな技術を今に伝える紛れも無い「越前和紙」なのです。

さて一口で絵を描くといっても、その道具が何か、絵の具ならば油なのかアクリルなのか水彩か、顔料なのか、はたまた鉛筆やパステルなのか…それによってどういう紙が適切なのかは違ってきます。
今回は水を一切使わない色鉛筆ですので、滲み方・浸透性は関係なく、色が乗りやすく描きやすい表面の滑らかさ・均一性および消しゴムを使っても容易に剥がれない丈夫さが必要ということでした。さらにこの方は色をかなり濃くきっちりと描かれるので、紙の質感といったものは不要(むしろ邪魔になる)。これらの条件をクリアし、加えてこれほど大きな紙をすぐ用意できるところ…ということで選ばれたのが「山路製紙」さんの紙でした。

山路製紙さんは、手漉きに限りなく近い機械漉きの越前和紙を製造している工場です。長田製紙所のすぐ隣、私も小さいころよく回覧板持って行きました(^^)。山路さんは、手軽な水彩練習紙から、今回のような大きなサイズの紙(ロールから断裁)・総こうぞの紙などつくっておられ、固定ファンも多くいらっしゃるそうです。

色鉛筆画はこれから製作に入られ、来年の夏あたりに完成予定とのこと。ちなみに製作の際必要な材料として長田製紙所の紙も使われます(宣伝)。どのような芸術作品が出来上がるか、本当に楽しみですね♪

最後に、こちらも絵の題材として如何でしょうか?ということでご紹介。
大滝神社のご神体・大杉
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紙が引きあわせた不思議な御縁に感謝です。
[製品紹介]

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